楽天証券の2026年8月の投資信託「買付金額」ランキングで、1位は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、2位は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」となりました。トップ2は7月から変わっていません。
一方で目立ったのが日本株関連の商品です。7月に3位だった「楽天日本株4.3倍ブル」は8月に5位へ後退し、10位だった「SBI 日本株4.3ブル」はトップ10圏外へ。8月のトップ10で日本株関連は「楽天日本株4.3倍ブル」の1本だけになりました。
8月順位は、楽天証券の月間買付金額ランキングをもとにしたFinaseeの2026年9月3日掲載記事でも確認できます。
ただし、この結果だけを見て「投資家が日本株から離れた」と判断するのは少し早そうです。
トップ10の比較で目立って順位を落とした2本はいずれも、日本株へ通常より大きな値動きを狙うレバレッジ型ファンドだからです。
オルカン・S&P500のトップ2は変わらず
楽天証券の月間買付金額ランキングでは、オルカンとS&P500が7月に続き1位・2位を維持しました。
さらに、
- 楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド
- 楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド
- 楽天・プラス・NASDAQ-100インデックス・ファンド
- iFreeNEXT FANG+インデックス
なども順位を上げています。
ここからまず確認できるのは、全世界株やS&P500を中心とする広範囲なインデックスファンドの強さが崩れていないことです。
NASDAQ100やFANG+といった、米国の大型成長株へより集中する商品も順位を上げました。
ただし、「順位上昇=大量の資金流入」とは限りません。
楽天証券のランキングは、対象期間中の買付金額を基準にした相対順位です。他のファンドの買付金額が減れば、自身の買付金額が大きく増えていなくても順位は上がります。
また、買付金額は解約を差し引いた純資金流入額とは異なります。
そのため、「NASDAQやFANG+に大量の資金が戻った」とまでは、このランキングだけでは断定できません。
日本株で目立って下がったのは「4.3倍ブル」

今回の日本株関連商品の変化を見るうえで重要なのが、通常のインデックスファンドとレバレッジ型を分けて考えることです。
「楽天日本株4.3倍ブル」は、国内株式市場の日々の値動きに対して、おおむね4.3倍程度の値動きを目指す商品です。
楽天証券も、値動きが非常に大きくなる可能性があり、一般的に中長期投資には適さないと注意しています。NISAの成長投資枠、つみたて投資枠のどちらも対象外です。
つまり、オルカンやS&P500のインデックスファンドと同じ「長期積立のコア商品」として比較するより、短期的な相場観を反映しやすい商品として見る方が実態に近いでしょう。
少なくともトップ10の比較では、目立って順位を落とした日本株関連商品は4.3倍ブル型でした。
この結果だけから、TOPIXや日経平均に連動する通常のインデックスファンドまで含めて、日本株全体への評価が悪化したとは判断できません。
7月の大幅下落は8月の反発でも埋まらない
「楽天日本株4.3倍ブル」は7月に39.34%下落し、8月は16.12%上昇しました。
一見すると8月は大きく反発していますが、下落前を100とすると、
- 7月末:100 × 0.6066 = 60.66
- 8月末:60.66 × 1.1612 ≒ 70.44
となります。
つまり、6月末を100とした場合、8月末でも約70.4。2カ月合計では約29.6%下落した水準です。
大きく下落した後は、同じ割合だけ上昇しても元の水準には戻りません。
例えば50%下落した商品は、その後50%上昇しても75までしか戻らず、元の100へ戻るには100%の上昇が必要です。
レバレッジ型の商品では値動きが大きいため、単月の「大幅上昇」だけを見ると実際の損益感覚とずれやすい点には注意が必要です。
SBI証券を見ると「日本株離れ」とは言い切れない
楽天証券とは少し違う動きを見せているのがSBI証券です。
SBI証券のNISA週間買付金額ランキングでは、8月24~28日の期間に、
- eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX):6位
- eMAXIS Slim 国内株式(日経平均):7位
に入っています。
さらに、8月の「月間積立件数増加ランキング」では、
- eMAXIS Slim 国内株式(日経平均):3位
- eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX):4位
でした。
もちろん、楽天証券の「月間買付金額」と、SBI証券の「NISA週間買付金額」「月間積立件数増加」は集計方法が違います。
そのため、順位をそのまま横並びに比較することはできません。
それでも、楽天証券で日本株関連商品がトップ10から減ったことを、そのまま個人投資家全体の日本株離れと解釈するのは難しいことは分かります。
少なくとも楽天証券のトップ10比較で確認できる大きな順位低下は、通常のTOPIX・日経平均インデックスではなく、高レバレッジの日本株4.3倍ブル型で目立っていました。
NASDAQ・FANG+の上昇も「純資金流入」とは限らない
逆に、NASDAQ100やFANG+の順位上昇も慎重に見る必要があります。
今回確認できるのは、8月の楽天証券の買付金額ランキングで順位が上がったという事実です。
そこから、
- 日本株からNASDAQへ資金が移った
- FANG+への純資金流入が急増した
- 個人投資家が一斉に米国ハイテクへ戻った
とまで判断することはできません。
ランキングで確認できるのは買付金額の相対順位であり、解約を差し引いた純資金流入額ではありません。
したがって、確実に言えるのは、8月の楽天証券では海外株インデックス系の買付金額順位が相対的に上がり、日本株4.3倍ブル系が下がったというところまでです。
「コア」と「高ボラ枠」を分けるとランキングが見やすい
今回のランキングを整理すると、同じ「人気投信」の中に性格の違う商品が混在していることが分かります。
一つは、オルカンやS&P500のような広範囲のインデックスファンドです。
月ごとの相場変動があっても1位・2位を維持しており、楽天証券の買付金額ランキングでは安定した強さを見せています。
もう一つは、
- NASDAQ100
- FANG+
- 日本株4.3倍ブル
のように、より集中度や値動きの大きい商品です。
こちらは相場環境や投資家心理によって、月ごとの順位も動きやすくなります。
この2種類をすべて同じ「人気投信」として見ると、ランキングの意味を読み違えやすくなります。
8月の楽天証券ランキングは「日本株離れ」というより、オルカン・S&P500という定番が上位を維持する一方、高ボラティリティ商品の中で順位変動が起きた月と見る方が、確認できたデータには合っています。
今後は、通常のTOPIX・日経平均インデックスが楽天証券でも上位へ入ってくるのか、NASDAQ100やFANG+の順位上昇が続くのかを見ると、今回の動きが一時的だったのか判断しやすくなります。
参照した一次情報
- 発表元:楽天証券
- 資料名:投資信託ランキング
- 注記:ランキングの集計方式・現行表示を確認。2026年8月の月間順位は動的ページ上で固定表示されないため、本文ではFinasee掲載の8月ランキングも併用
- 発表元:楽天証券
- 資料名:楽天日本株4.3倍ブル 銘柄詳細
- 更新日:2026年9月4日
- 発表元:SBI証券
- 資料名:NISA 投資信託ランキング
- 対象期間:2026年8月

