ビットコインが再び8万ドル台へ戻ってきました。
9月4日未明、ビットコインは一時8万1,400~8万1,800ドル付近まで上昇。CoinPostによると、上昇率は約5.4%に達しました。
今回のきっかけとして市場が注目したのが、FRB(米連邦準備制度理事会)のクリストファー・ウォラー理事の発言です。
ポイントは「FRBが利下げする」という話ではありません。
9月の追加利上げを警戒していた市場が、「もしかすると今回は据え置きでは」へ傾いたことで、ビットコインを含むリスク資産に買いが入りました。
8万ドルは「初突破」ではなく再び回復
まず数字の見方には注意が必要です。
ビットコインは今回初めて8万ドルを突破したわけではありません。
8月にも8万ドル台へ上昇しており、今回は一度7万ドル台へ下げた後の8万ドル台回復です。
CoinPostによると、4日は一時8万1,400~8万1,800ドルまで上昇。前日の安値圏だった7万7,000ドル付近から見ると、かなり大きな反発になりました。
そのため今回のニュースで見るべきなのは、
「8万ドルという新記録」ではなく、「金利観測が変わっただけで短時間に数%動いたこと」
です。
利上げ確率は63.2%から約50%へ

市場の空気を変えたのが、9月3日のウォラーFRB理事の発言です。
ウォラー氏は、インフレ率がFRBの2%目標を依然として上回っていると認めつつ、最近のデータには物価上昇の鈍化を示す兆候があると説明しました。
そして、今後発表されるデータでも改善が続けば、9月15~16日のFOMCでは政策金利の据え置きを支持する考えを示しています。
一方で、8月のインフレが再び強まれば利上げを検討するとも明言しています。
つまり、
「利上げはない」
ではなく、
「データが改善すれば据え置き、インフレが強ければ利上げ」
という発言です。
それでも市場は反応しました。
ロイターによると、CME FedWatchが示す9月FOMCでの利上げ確率は、
| 時点 | 9月利上げ確率 |
|---|---|
| ウォラー発言前 | 63.2% |
| 発言後 | 約50.4% |
まで低下しました。
ほぼ「利上げ優勢」だった状態から、「据え置きと利上げが五分五分」に近づいたことになります。
なぜ「利上げしないかも」でビットコインが上がる?
ビットコインそのものに金利が付くわけではありません。
それでも米国金利の見通しには強く反応します。
理由の一つは、金利が高くなるほど米国債などの利回りが魅力的になるためです。
安全性の高い資産から十分な利回りを得られる環境では、価格変動の大きいビットコインなどを保有するハードルが相対的に上がります。
逆に、
利上げ観測が後退 ↓ 米国債利回りが低下 ↓ 高金利が長く続く警戒が弱まる ↓ 株式・ビットコインなどへ資金が向かいやすくなる
という動きが起こりやすくなります。
実際、ウォラー氏の発言後はビットコインだけでなく米国株も上昇し、米10年国債利回りは4.8%近辺から4.75%台へ低下しました。
今回の値動きを「ウォラー氏の発言だけでビットコインが5%上がった」と断定するのは適切ではありませんが、金利見通しの変化が複数の市場で同時に材料視されたことは確認できます。
ただしFRBはまだ利上げを捨てていない
今回の上昇だけを見て、「FRBの利上げはなくなった」と考えるのも早すぎます。
現在のFRBの政策金利は3.50~3.75%。
7月のFOMCでは据え置きが決まりましたが、投票した12人のうち3人は0.25%の利上げを主張していました。
FRB内部でも意見は完全には一致していません。
さらにウォラー氏自身も、8月のインフレが強ければ利上げを支持する可能性を明確に残しています。
8万ドル突破を「金融緩和再開のサイン」と読むより、9月FOMCをめぐる市場予想が短期間で大きく揺れている局面と見る方が正確です。
今夜の雇用統計より、11日のCPIがさらに重要
次の重要イベントはすぐにあります。
米労働省は9月4日8時30分(米東部時間)、日本時間では9月4日21時30分に8月の雇用統計を発表する予定です。
その後、9月11日には8月の消費者物価指数(CPI)、15~16日にはFOMCが控えています。
ウォラー氏は今回、雇用市場は比較的安定しているとの見方を示し、政策判断では8月のインフレデータが大きな影響を持つと説明しています。
今後の流れを単純化すると、
9月4日:雇用統計 ↓ 9月11日:CPI ↓ 9月15~16日:FOMC
です。
特にCPIでインフレ鈍化が確認されれば、据え置き観測がさらに強まる可能性があります。
反対に物価が再加速すれば、今回50%程度まで低下した利上げ確率が再び上昇し、ビットコインにとって逆風になる可能性があります。
今回の8万ドル回復はゴールではなく、むしろ9月の重要指標を前にした最初の大きな値動きと考えた方がよさそうです。
参照した一次情報
- 発表元:Federal Reserve Board
- 資料名:The Economic Outlook and Some Comments on My Policy Communication
- 発表日または更新日:2026年9月3日
- 発表元:Federal Reserve Board
- 資料名:Federal Reserve issues FOMC statement
- 発表日または更新日:2026年7月29日
- 発表元:Federal Reserve Board
- 資料名:FOMC Meeting calendars and information
- 発表日または更新日:2026年8月19日更新
- 発表元:U.S. Bureau of Labor Statistics
- 資料名:Schedule of Selected Releases for September 2026
- 発表日または更新日:2026年2月18日更新

