NVIDIA、四半期売上962億ドル
NVIDIAが2027年度第2四半期(2026年7月26日まで)の決算を発表しました。
数字だけを見ると、今回も驚異的な内容です。
売上高は962億2,100万ドル。
前年同期の467億4,300万ドルから106%増加し、わずか1年間で2倍以上になりました。
前四半期比でも18%増えています。
GAAPベースの希薄化後1株利益(EPS)は2.46ドル。
粗利率は75.0%でした。
さらに非GAAPベースの純利益は539億5,400万ドルに達しています。
売上が急成長しているだけでなく、高い利益率も維持していることになります。
NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは今回の決算発表で、AIについて「転換点に到達した」と強調。
AIによって生み出されるトークンが実際の仕事に利用され、収益を生み始めたことで、AI向け計算能力そのものが企業の収益源になりつつあるとの認識を示しました。
Data Centerだけで890億ドル
NVIDIAの成長を支えているのは、やはりAI向けデータセンター事業です。
第2四半期のData Center売上高は約890億ドル。
NVIDIA全体の売上高962億ドルに対し、実に9割以上を占めます。
現在のNVIDIAはゲーム向けGPUメーカーというより、
「世界のAIデータセンターへ計算能力を供給する企業」
と考えた方が実態に近いでしょう。
OpenAIやGoogle、Metaなどが大規模AIモデルを開発するためには、膨大な計算能力が必要になります。
さらに最近では、大手テック企業だけでなく、AIスタートアップ、政府、企業向けAIなどへ需要が広がっています。
NVIDIAは今回、この需要が今後も続くとの強気な見方を示しています。
次年度も「約70%成長」という驚異的な見通し
今回の決算で特に重要なのは、過去3カ月の数字だけではありません。
今後の見通しです。
Reutersによると、NVIDIAは2028年1月期の売上高について約70%の成長を見込んでいます。
市場予想は約44%増でした。
現在のNVIDIAほど巨大な企業が、さらに年間70%という成長率を示していること自体が異例です。
AIインフラへの投資がまだピークアウトしていないというのが、NVIDIA側の基本的な見方です。
次世代GPU「Vera Rubin」の生産も本格化しており、今後の売上拡大を支える製品として期待されています。
さらにAmazon Web Services(AWS)との提携拡大など、大規模なAIインフラ案件も続いています。
少なくとも今回の決算だけを見る限り、
「AI向けGPU需要が突然崩れている」
という兆候は見当たりません。
Redditでも「数字が異常」という反応
今回の決算は、海外の投資家コミュニティでも大きく注目されています。
Redditの「r/stocks」に投稿されたNVIDIA決算スレッドは、確認時点で800票を超える反応を集めています。
反応を見ると、やはり多いのは売上規模と成長率への驚きです。
四半期だけで約962億ドルを売り上げながら前年同期比106%増という数字は、通常の大型企業ではほとんど見られません。
一方で、投資家の関心は単純な売上成長から、
「この成長率をどこまで維持できるのか」
「利益率は維持できるのか」
「AI企業への投資とGPU販売の関係は健全なのか」
という方向へ移りつつあります。
これはNVIDIAを見る上で重要な変化です。
「好決算=株価が上がる」とは限らない
ここで注意したいのが、企業の業績と株価は別物だという点です。
今回のNVIDIAの決算そのものは非常に強い内容でした。
しかし、それだけで今後の株価上昇が保証されるわけではありません。
株価には、
「将来どこまで成長すると思われているか」
という市場の期待がすでに織り込まれているからです。
NVIDIAの場合、
・AI市場が今後も急成長する
・GPU需要が増え続ける
・NVIDIAが高い市場シェアを維持する
・高い利益率を維持する
といった期待が企業価値に反映されています。
つまり、単に好決算を出すだけではなく、
市場が想定している非常に高い成長期待を上回り続ける必要があります。
NVIDIAほど成長期待が高い企業では、このハードル自体がリスクになります。
注目すべきは「売上」より粗利率かもしれない
今後NVIDIAを見る上で特に重要になりそうなのが粗利率です。
今回のGAAP・非GAAP粗利率はともに75.0%でした。
これは極めて高い水準です。
しかし今後は、メモリーをはじめとする部品価格上昇や次世代製品への移行などによって利益率への圧力が予想されています。
Reutersによると、NVIDIAは今後、粗利率が71~72%程度まで低下する可能性を想定しています。
もちろん70%を超える粗利率自体、半導体企業として非常に高い水準です。
問題は絶対値ではなく、
「市場が75%前後の利益率を当然のものとして評価している場合、数ポイントの低下でも利益成長への影響が大きい」
ことです。
今後の決算では売上成長率だけでなく、粗利率の推移も確認する必要があります。
中国市場という大きな不確定要素
もう一つ無視できないのが中国です。
米国によるAI半導体の輸出規制によって、NVIDIAは中国市場で自由に最先端GPUを販売できる状況ではありません。
今回の会社見通しにも、中国向け売上は含まれていません。
中国市場へのアクセスが改善すれば上振れ要因になり得る一方、規制がさらに強化されればリスクになります。
これはNVIDIA自身の製品競争力だけではコントロールできない要素です。
米中関係や米国政府の輸出政策は、今後もNVIDIAを見る上で重要なポイントになります。
もう一つのリスクは「AI企業との循環的な資金関係」
最近、投資家から注目され始めているのがNVIDIAとAI企業の資金関係です。
NVIDIAは単にGPUを販売するだけではなく、AI企業やAIインフラ事業者への投資、資金支援なども積極的に行っています。
AI企業へNVIDIAが投資する。
その企業が資金を使ってNVIDIAのGPUを購入する。
GPU需要が増え、NVIDIAの売上が伸びる。
このような構造が拡大すると、
「実際の最終需要はどこまであるのか」
という疑問が出てきます。
もちろん、これだけでNVIDIAの売上が人工的に作られているという意味ではありません。
現在のAI計算需要そのものが非常に強いことは、各クラウド企業の設備投資などからも確認できます。
一方でReutersは、NVIDIAがAIクラウド企業に信用支援を行い、その企業の売上の一部を受け取る新たな仕組みを一時停止したと報じています。
背景には、こうした取引が「循環的な需要」に見えることへの投資家の懸念があるとされています。
今後NVIDIAを評価する際には、
「GPUを何台売ったか」
だけでなく、
「最終的に誰がAI計算能力を使い、その利用から十分な利益を生み出しているのか」
を見る必要があります。
それでも今回の決算から「AIバブル崩壊」は読み取れない
AI関連株では以前から「AIバブル」という言葉が使われています。
巨大テック企業がデータセンターやGPUへ莫大な資金を投入しているためです。
しかし今回のNVIDIA決算を見る限り、少なくとも現時点でAIインフラ需要が急激に崩れている兆候はありません。
売上高は前年比106%増。
Data Center売上高は約890億ドル。
さらにNVIDIAは次年度も約70%の成長を見込んでいます。
需要面だけを見れば、AIインフラ投資は依然として非常に強い状況です。
ただし、
「AI需要が強い」ことと「現在のAI関連株の株価が割安である」ことは全く別の話です。
AI市場が成長しても、企業価値にそれ以上の成長期待が織り込まれていれば株価が下落することはあります。
逆に成長率が多少鈍化しても、市場予想を上回れば株価が上昇する場合もあります。
投資判断では、この2つを分けて考える必要があります。
まとめ:次に見るべきは「AIで誰が利益を出しているか」
今回のNVIDIA決算は、AIインフラ需要の強さを改めて示す内容でした。
売上高962億ドル、前年比106%増。
Data Center売上高は約890億ドル。
粗利率75%。
巨大企業とは思えない成長率です。
さらにNVIDIAは次年度も約70%の売上成長を見込んでおり、会社側はAIインフラ投資がまだ続くと考えています。
一方、今後の焦点は少しずつ変わってきています。
これまでは、
「GPUがどれだけ売れるか」
が最大のテーマでした。
これからは、
「そのGPUを使ったAIサービスが実際にどれだけ利益を生み出せるか」
が重要になります。
AI企業やクラウド企業が十分な収益を得られれば、GPUへの巨額投資を継続できます。
逆にAIサービスの収益化が設備投資に追いつかなければ、どこかでGPU需要にも影響します。
NVIDIAの売上高が1000億ドル規模へ近づいた現在、AIブームの持続性を見るためには、NVIDIAだけではなく、そのGPUを購入している企業のキャッシュフローやAI事業の収益性まで確認する必要がありそうです。

