Brent一時108ドル台 サウジ迂回パイプライン停止で供給不安

原油価格の上昇と中東の海上・パイプライン輸送リスクを表現したイメージ 経済

週明けの原油市場で、原油価格が再び大きく上昇しました。

北海Brent原油先物は取引開始直後、一時1バレル108.23ドルまで上昇。前週末から3.62ドル、3.46%高となりました。米WTI原油先物も3.15ドル、3.15%上昇して103.20ドルとなっています。

背景にあるのは、サウジアラビアへの新たな攻撃とホルムズ海峡での船舶被害です。

さらに今回は、ホルムズ海峡を避けて原油を紅海側へ運ぶためのサウジ「東西パイプライン」も停止しています。

海上ルートのリスクに加え、その迂回路まで使えなくなっていることが、今回の供給不安のポイントです。

Brentは一時108.23ドル

Reutersが日本時間9月14日朝に報じた週明け取引開始直後の価格は、次の通りです。

指標 価格 上昇幅
Brent原油 108.23ドル +3.62ドル(+3.46%)
WTI原油 103.20ドル +3.15ドル(+3.15%)

108.23ドルは「9月14日の取引開始直後」の値であり、その後も動くリアルタイム価格です。

重要なのは108ドルという数字そのものより、100ドルを超えている原油市場に新たな供給不安が加わり、週明け早々に3%超上昇したことです。

サウジとホルムズで攻撃

Reutersによると、サウジ国営メディアは南部ジザン州について、フーシ派による攻撃で住宅やモスクに被害が出たとする映像を公開しました。

同じタイミングで、ホルムズ海峡では船舶に飛翔体が命中。火災が発生し、乗員が退避したと英海事当局UKMTOが報告しています。

ホルムズ海峡は中東産原油を世界へ運ぶ重要な航路です。

船舶への攻撃が続けば、実際の輸送量だけでなく、運航判断や保険、輸送コストにも影響する可能性があります。

ただし、個々の攻撃が原油価格を何ドル押し上げたかを切り分けることはできません。今回は複数の供給リスクが同時に重なったと見るのが適切です。

「ホルムズ迂回路」も停止

市場が特に警戒しているのが、サウジアラビアの東西パイプラインです。

サウジ・エネルギー省は、このパイプラインが9月10日朝にリヤド州とマディーナ州で複数回攻撃され、安全確認のため予防的に停止したと発表しました。

サウジ外務省は、その後の声明で攻撃に使われた複数のドローンはイラクから飛来したと説明しています。

東西パイプラインは、サウジ東部の原油を陸路で西部のヤンブーへ運び、紅海側から輸出できる設備です。

つまり、

「ホルムズ海峡を通れないなら西へ迂回する」

ための重要なルートです。

ホルムズ海峡経由とサウジ東西パイプライン経由を比較し、迂回ルート停止による供給リスクを示した図

Reutersによると、サウジはこのパイプラインを使って日量約400万バレルをヤンブーへ迂回輸送していました。世界の石油供給量の約4%に相当します。

パイプラインが再開しなければ、この供給が失われる可能性があると同社は報じています。

また、Reutersが取材した業界関係者によると、現在ヤンブーにある在庫で輸出を維持できる期間は5〜7日程度とされています。

この「5〜7日」はサウジ政府が発表した期限ではなく、業界関係者の推計です。

日本では「値上がり」と「不足」を分けて見る

原油を輸入に大きく依存する日本でも、高値が長引けば調達コストを押し上げる要因になります。

影響が考えられるのはガソリンや軽油だけではありません。物流や石油化学製品などを通じて、幅広いコストへ波及する可能性があります。

ただし、

Brentが3%上がったから、日本のガソリン価格もすぐ3%上がる

という関係ではありません。

国内価格には為替、原油調達時期、在庫、元売り各社の価格改定、政府の燃料価格対策なども影響します。

また、国際原油価格の上昇と、日本国内で直ちに石油が不足することも別問題です。

現時点では「ガソリンが何円上がる」「国内で供給不足になる」と確定的に書ける段階ではありません。

次はパイプラインの再開時期

今後、特に確認したいのは3点です。

1つ目は、東西パイプラインがいつ再開するか。

2つ目は、ホルムズ海峡で船舶への攻撃や航行障害がさらに拡大するか。

3つ目は、外交交渉が進むかです。

ホルムズ海峡を巡って予定されていたイランと湾岸諸国によるオマーンでの協議は延期されています。

今回の原油急騰で重要なのは、単に「中東で新たな攻撃が起きた」ことだけではありません。

ホルムズ海峡の不安定化に加え、その迂回輸送を担っていた東西パイプラインまで停止していることが、供給不安を一段強めています。

今後は短時間で動く原油価格そのものより、パイプラインの復旧とホルムズ海峡の航行状況を追う必要があります。

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