日本銀行が9月11日に発表した8月の国内企業物価指数は、前年同月比7.6%上昇しました。
市場予想の7.4%を上回り、企業間で取引されるモノの価格は1年前と比べて高い状態が続いています。
ただし、前月比では0.2%低下しました。円ベースの輸入物価も前年同月比では24.8%上昇した一方、前月比では3.0%低下しています。
「8月に物価が7.6%や24.8%も急上昇した」という意味ではない点が、今回の数字を見るうえで重要です。
企業物価は前年同月比7.6%高
8月の国内企業物価指数は、2020年平均を100とした指数で136.1。前年同月比7.6%上昇しました。
7月の7.7%から伸び率はわずかに縮小しましたが、市場予想の7.4%は上回りました。
| 指標 | 7月 | 8月 |
|---|---|---|
| 国内企業物価・前年同月比 | +7.7% | +7.6% |
| 国内企業物価・前月比 | +0.4% | -0.2% |
| 輸入物価・前年同月比(円ベース) | +29.3% | +24.8% |
| 輸入物価・前月比(円ベース) | +1.2% | -3.0% |
国内企業物価を分類別に見ると、前年同月比では非鉄金属が43.3%、情報通信機器が19.5%、石油・石炭製品が14.7%上昇しています。
「7.6%高」と「前月比マイナス」は両立する

前年同月比7.6%と前月比マイナス0.2%は、比較する時点が違います。
前年同月比は2025年8月との比較、前月比は2026年7月との比較です。
つまり、価格水準は1年前よりかなり高いものの、直近1カ月だけを見ると少し下がったことになります。
8月は前月比で、電力・都市ガス・水道が2.2%、農林水産物が2.3%、石油・石炭製品が1.7%低下しました。
「物価上昇が8月にさらに加速した」というより、「前年より高い水準が続く一方、直近ではやや低下した」と読む方が実態に近い数字です。
輸入物価は前年同月比24.8%高
円ベースの輸入物価指数は、前年同月比24.8%上昇しました。
一方、同じ輸入物価を契約通貨ベースで見ると前年同月比16.7%上昇です。円ベースの指数は為替変動の影響も受けるため、海外での価格変化だけを示しているわけではありません。
8月単月では、円ベースの輸入物価は前月比3.0%低下しました。日銀資料の参考為替相場も前月比2.4%の円高方向となっています。
前年同月比では高い上昇率が残る一方、直近では輸入物価を押し下げる動きも確認できます。
利上げ観測を補強する材料に
今回の統計は、9月17〜18日の日銀金融政策決定会合を前に公表されました。
みらいアンテナでは9月8日に、日銀が政策金利を1.0%程度から1.25%程度へ引き上げる方針だと報じられた経緯を整理しています。
Reutersによると、今回の企業物価発表より前から、市場では9月の1.25%への利上げがほぼ織り込まれていました。
そのため、今回の7.6%という数字によって新たに利上げ観測が生まれたというより、すでに強かった利上げ観測を補強する材料が一つ増えたと見るのが適切です。
政策変更そのものは、9月17〜18日の金融政策決定会合で判断されます。
次は消費者価格への転嫁を見る
企業物価が前年同月比7.6%上昇したからといって、スーパーの商品やサービス価格がそのまま7.6%上がるわけではありません。
企業物価指数は企業間で取引される財の価格を測る指標で、家計が実際に支払う価格を測る消費者物価指数とは対象が異なります。
今後見るべきなのは、高い企業物価や輸入コストが消費者価格へどこまで転嫁されるかです。
8月は「前年と比べれば高い」「前月と比べれば低下」という2つの動きが同時に確認されました。大きな前年比の数字だけでなく、直近の方向も合わせて見る必要があります。
参照した一次情報
- 発表元:日本銀行
- 資料名:企業物価指数(2026年8月速報)
- 発表日:2026年9月11日
- 発表元:日本銀行
- 資料名:企業物価指数(2020年基準)の概要
- 発表日または更新日:2022年6月
- 発表元:日本銀行
- 資料名:公表予定
- 発表日または更新日:日付表記なし
参照した報道
- 媒体名:Reuters
- 記事名:Japan’s wholesale inflation stays elevated in August, boosts case for rate hike
- 公開日:2026年9月11日

