金融庁、資産運用立国の具体化へ 17分野・家計・オンチェーン金融が重点

家計から金融市場、成長企業、オンチェーン金融へ資金が循環するイメージ 投資

金融庁は9月15日、「2026事務年度金融行政方針」を公表しました。

柱の一つが、7月に政府が策定した「成長投資を促進するための金融戦略-資産運用立国のアップグレード-」の具体化です。

17の戦略分野等への成長資金、家計の安定的な資産形成、資産運用サービス、さらに「AI時代を見据えたオンチェーン金融」まで含まれます。

ただし、9月15日に新しいNISA制度などが一斉に始まったわけではありません。今回は「これから金融行政で何を具体化していくのか」を示した方針として見る必要があります。

7月の金融戦略を9月から具体化へ

今回、日付を分けて見ることが重要です。

「成長投資を促進するための金融戦略」は7月21日に政府が策定しました。

9月15日に金融庁が公表した2026事務年度金融行政方針では、この戦略に掲げられた施策を「着実に具体化・実行」するとしています。

対象は大きく、金融機関・市場、企業、家計・資産運用、金融インフラまで広がります。

従来の「貯蓄から投資へ」だけでなく、家計などから集まった資金を企業の成長投資へどうつなぎ、金融システム全体をどう整えるかまで扱う戦略です。

資産運用立国の資金循環とオンチェーン金融の位置づけを示す図

17分野は「買うべき業種」の一覧ではない

金融戦略では、官民連携による「17の戦略分野等」への成長資金供給を拡大する方針が示されています。

17分野にはAI・半導体、造船、量子、デジタル・サイバーセキュリティ、コンテンツ、創薬・先端医療、防衛産業、情報通信、海洋などが含まれます。

ただし、これは個人投資家向けの推奨銘柄リストではありません。

銀行などによる融資、市場からの資金調達、ファンドなどを通じ、成長投資へ資金を供給しやすくすることが政策の中心です。

個人投資家にとっては、「どの産業へ政策面から資金供給を促そうとしているか」を把握する材料の一つになります。

家計ではNISAだけでなく運用の仕組みも対象

家計に近い部分では、「安定的な資産形成の促進」が引き続き掲げられています。

金融庁の「資産運用立国」では、NISAや金融経済教育が家計向け施策に位置づけられています。

一方、今回の金融戦略では、家計だけでなく、資産運用会社や年金などのアセットオーナー、金融市場も一体で扱っています。

つまり「投資する人を増やす」だけではなく、その資金を誰がどう運用し、企業へどうつなぐかまでが政策の対象です。

なお、今回の公表そのものがNISAの新たな非課税枠や税率を開始するものではありません。個別制度は今後の法改正や正式発表を別に確認する必要があります。

オンチェーン金融は「決済インフラ」の話

今回、特に目を引くのが「AI時代を見据えたオンチェーン金融イニシアティブ」です。

金融庁はすでに、ブロックチェーンを使った決済高度化を支援しています。

2026年には、異なる銀行の顧客間でトークン化預金を送金する際の銀行間決済について、預金口座やステーブルコインを利用する実証実験を支援しています。

また、ステーブルコインについても、金融庁は決済の高度化やトークン化された金融商品の利便性向上につながる技術として位置づけています。

そのため「オンチェーン金融」は、暗号資産への投資を促す話だけではありません。

銀行間決済や証券決済など、金融取引の裏側にあるインフラをブロックチェーン技術で高度化することも重要なテーマです。

個人投資家が確認したい3つの動き

今回の資料だけで、個人の投資行動をすぐ変える必要があるわけではありません。

今後確認したいのは、主に3点です。

1つ目は、17の戦略分野への資金供給策が具体的にどう制度化されるか。

2つ目は、NISAや資産運用サービス、年金など家計に近い制度へどのような変更が加わるか。

3つ目は、ステーブルコインやトークン化預金などのオンチェーン金融が、実証実験から実際の金融サービスへどこまで広がるかです。

「政府・金融庁が方針を示したこと」と「実際に利用できる制度やサービスが始まったこと」を分けて追う必要があります。

ネットの反応はまだ限定的

9月16日朝の確認時点では、今回の9月15日の公表を巡り、RedditやHacker News、はてなブックマークなどで大規模な定量反応は確認できませんでした。

行政方針そのものより、今後のNISA関連制度や成長資金供給、ステーブルコイン・トークン化預金など、個別施策が具体化した段階で改めて確認したいテーマです。

参照した一次情報

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