トランプ氏、AIを「SI」に改称方針 “Super Intelligence”は既存用語とどう違う?

米政府文書でAIをSuper Intelligenceと呼ぶ方針を表したイメージ AI・テクノロジー

米国のドナルド・トランプ大統領が、人工知能(AI)を「Super Intelligence」と呼ぶ方針を打ち出しました。

9月22日の国連総会演説でトランプ氏は、今後の米政府文書では「artificial」ではなく「super」を使うと発言。「artificial」という言葉では知能が「fake」のように聞こえるとの考えも示しています。

ただし、現時点で「米国でAIという名称が正式にすべて置き換わった」と考えるのは早そうです。

「AI」から「SI」へ何を変える?

トランプ氏は演説で、米政府文書の「Artificial Intelligence」を「Super Intelligence」という呼称へ変えていく考えを示しました。

理由については、「artificial」が知能を偽物のように聞こえさせる一方、実際の技術はそうではない、という趣旨を説明しています。

一方、AP通信は9月22日時点で、名称変更を実施する正式な命令が別途出されたのかは明らかではないと報じています。

そのため現段階では、「米政府文書でSuper Intelligenceを使う方針を大統領が表明した」と捉えるのが適切です。いつから、どの文書へ、どの範囲で適用するのかはまだ明確ではありません。

「Super Intelligence」はすでにAI用語

やや複雑なのは、「superintelligence」がAI分野ですでに使われている言葉だという点です。

OpenAIは2023年、superintelligenceについて、AGIよりも劇的に高い能力を持つ将来のAIシステムという位置づけで説明しています。現在のAI全般と同じ意味ではありません。

整理すると、今回の用法には次の違いがあります。

用語 主な意味
AI / Artificial Intelligence 現在広く使われる人工知能全般の呼称
superintelligence AGIを大きく上回る将来の高度なAIを指す文脈で使われる用語
SI / Super Intelligence 今回、AIに代わる米政府文書上の呼称として提示された言葉
AI、既存のsuperintelligence、トランプ氏が提示したSIの意味を比較した図

もちろん「superintelligence」に世界共通の厳密な定義が一つだけ存在するわけではありません。

それでも、既存のAI研究や企業の文脈では、現在のAIより先にある極めて高度なシステムを指す例があります。今回の呼称をAI全般へ適用すれば、従来の技術用語と意味が重なる可能性があります。

名称だけでなくAI政策の姿勢も示した

今回の演説では、名前の変更だけが語られたわけではありません。

トランプ氏は国際的な枠組みによるAI統制に反対する姿勢を示し、技術の成長を抑えない考えを強調しました。一方で、必要であれば米司法省がAI企業へ対応する可能性にも言及しています。

2025年にホワイトハウスが公表した「America’s AI Action Plan」でも、AIイノベーションの加速、インフラ整備、国際競争力が政策の柱とされています。

今回の「AI→Super Intelligence」という発言も、AI開発を米国の技術競争力に関わる重要分野として位置づける政権の政策姿勢と合わせて見る必要があります。

Redditでは数千票、皮肉や困惑も

ネット上でも発言は大きな反応を集めています。

9月23日9時台の確認時点で、Redditのr/politicsに投稿された関連スレッドは3,682票、r/ArtificialInteligenceの関連投稿は2,224票となっています。

コメントでは名称変更への批判や皮肉に加え、「superintelligenceにはすでに別の意味がある」と指摘する反応も確認できます。

ただし、特定のRedditコミュニティの反応は米国全体の世論を示すものではありません。ここでは、この発言がネット上で大きな議論を呼んでいる一例として見る必要があります。

次に見るべきは「実際の政府文書」

今後の焦点は、発言が実際の行政文書へどう反映されるかです。

新しく作る文書だけを「Super Intelligence」にするのか、既存の「AI」を含む政策名や組織名まで変更するのか、各省庁へ統一的な指示が出るのかは、9月23日朝時点では明らかになっていません。

「AI」が本当に米政府文書から姿を消すのか。それとも演説で示された呼称にとどまるのか。

大統領令や覚書、政府向けガイダンスなど、具体的な実施文書が出るかが次の確認ポイントです。

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